学校ワーク・ライフ・バランスシンポジウム レポート2 <ワークショップ>

午前:ワークショップと事例紹介

日時:12月26日(火)10:00〜12:00

場所:神戸産業振興センター  

コーディネーター:澤田真由美

サポート:木村知佐子・服部裕樹

ファシリテーショングラフィック:福成有美

満席のとなり迎えた当日。

参加者は、九州・四国・北陸・東海・関西・関東まで、 教員・保護者・教育委員会・コンサルタント・メディアなどなど。 学校の働き方を考えたい多くの方々のご参加がありました。 

 

1・高槻市立北大冠小学校の取り組み紹介

 

北大冠小学校にはWLBC関西が今年度継続的に入り支援をしています。 

 

鍵の統一や事務職員の巻き込みなど、具体的な11個の取り組みをご紹介しました。

北大冠小学校 校長今奥先生の言葉

 

この取り組みは授業と相性がいい。

学校改革になる。


時間を生むだけのつもりだったが教育課程を見直すことになるので、学校目標を目指し、職員みんなで学校をデザインし直す大きなきっかけになった。 

北大冠小学校においてWLBC関西がしたことの代表は以下です。 

1・校長と職員室をつなげた
校長のニーズと職員室のニーズをヒアリングして方向性を決めた

 

2・事例を都度紹介
全国の事例を知ることで思い切った取り組みができた

 

3・ワークショップ
日常会話では流れてしまうようなことをワークショップという場にしたことで共通理解ができた 

 

4・実際の進め方の提案
超忙しい学校内でもできる方法を提案

 

5・校長や企画会議と伴走
外部コンサルタントの客観的な視点を生かした

2・事例紹介

ライフでの充実がワークの質を高めた事例 / 個人

  • サークルで授業準備も保護者の悩みも15分で解消する例
  • ラグビー部顧問だけど朝練に頼らない指導法確立
  • 家事育児経験で教室での声かけが変わった例

時程の工夫例 / 福岡県春日市

  • 午前に5時間授業で午後の時間を生んだ例

環境や導線の工夫例 / 横浜市立富士見台小学校

  • 教頭机の位置を通常とは90度変えてコミュニケーションを生んだ 立って会議用テーブル導入で会議時間短縮 
  • 憩いの場で発想UP 

<その他

  • 職員会議をなくしている学校 
  • 留守電・自動音声応答で保護者は満足、教員は持ち帰り仕事は半減 
  • 地域を巻き込んだワークショップで地域保護者を協力者に 
  • 滋賀県湖南市で階層別意識改革 
  • 部活動へのクレームは受け付けませんと言い切った横浜市立中川西中学校校長平川理恵先生 
  • 教員への評価を変えたことで風土を変えた箕面高校校長日野田先生 

 

専門性とは何なのかを考えるためにイギリスの事例も紹介しました。

 

イギリスでは教員がすべきではない業務を25個、教育省が発表しています。それらは欠席確認や試験監督や大量の印刷や掲示物など、日本では当たり前のように教員が担っている業務です。

3・WLBC関西にて実際に継続支援をしている学校での働き方見直し会議を再現

働き方についてすでにしている良かったこと・続けたいことを、ふせんを使って時間を意識した会議をしました。 

 

学校では帰りの早い先生のノウハウを共有していないことが多いので、ぜひ「周りの信頼を集めながら帰りが早い先生」のやり方・考え方を共有してみてください。 

4・あなたや学校の働き方の課題

これもふせんを使って、今度は時間を意識して会議をしていただきました。

 

途中で、今回後援をいただいている株式会社ワーク・ライフバランスの高安千穂さんから会議参加者の役割分担をレクチャーいただきました。 

出た意見 

  • 差し込み印刷をして効率的に賞状づくりなどしているが、そうしたノウハウを周りに共有しにくい雰囲気がある。
  • 学年会が日常会話の中で始まっていることがあり、不在だと知らないままになってしまう。
  • 業務の標準化ができていなく、文集作りや面談が個人の力量に左右される。
  • 先生個人の時間管理問題・予定時間の見積もりが甘い
  • プライベートをカミングアウできずに帰りくい
  • 校内でどこにいるのか探してまう(携帯電話使っていない)
  • そもそも業務量が多すぎる
  • 保護者からの問い合わせがあり集中して仕事ができない
  • 引き継ぎせずに異動

これらに対して澤田から以下のようなことをお答えしました。 

  • マニュアル作りのポイント
  • 働き方見直しで立ち返るべき軸について
  • 企業でよくある集中タイムを学校に導入するときの留意点
  • 週案の活用で働きやすい学年を作る方法

など。

働き方の見直しには、会議を見直したり、帰りやすく本音が言いやすい風土づくりをしたり、様々なステップがあります。 

 

今回はその一部を体験していただきました。学校に戻ったら、短時間でもこまめに働き方について話し合って、自分たちで自走できることを目指していただければと思います。 

午後はシンポジウムを開催しました。 レポートはこちら

後日いただいた感想

2018/2/8更新

関西圏学校関係者の方

12月に参加しました。ワークライフバランスのシンポジウムの内容をファシリテーショングラフィックを中心に全職員に配信しました。

 

管理職が大変興味を示し、共感をしています。
学年だよりのこと・部活の朝練を止めることで 職員と生徒の時間の使い方が変わってくることなど、大変 良い資料だ!と時間を見つけては 見直しているようです。今まで いくつかの研修に行きました、職員に情報提供することが少なかったこともありますが、今回のように反響の大きかったのは初めてであり、共感があり・実践につながりそうな内容は初めてです。

2018/1/24更新

熊本から参加の教育関係者の方

参加しました感想を一言で申し上げるなら、「とても楽しく勇気づけられた」ということです。

まず、ワークショップの部ですが、事例紹介では先進的に改革を進めている学校の紹介がありました。

中でも「教職員から出てきたアイデアを採用することが大事」という言葉が印象的でした。

ワークショップでは学校の時間の使い方で「良かったこと」「課題」について体験させていただきましたが、教員以外の参加者もいて、保護者の立場からの意見もあり視野が広がりました。

参加者全員(私も含めて)が、いきいきと意見を述べられるような会場の雰囲気に感動しました。 

     

次に、シンポジウムですが、澤田様を含めて3人の登壇者の見識の高いトークに引き込まれました。

働き方改革のヒントとして「先生を孤立させず、いきいきと働いてもらう」という趣旨でシンポジウムが展開していったように、個人的には感じました。クレームを引き受けるイクボス上司の存在、先生を支えるPTA活動、ワークショップによる先生及び保護者の学校運営への参画など、今後取り組みにいかせるヒントを数多く得ることができました。感謝申し上げます。

 

また、会場の熱気に「これほどまでに学校の働き方改革のことを真剣に考えている人々がいる」ということに勇気を与えられたような気がしました。

 

最後に、次のメッセージが全体を通して伝えたかったことであったと感じました。

「ワーク・ライフ・バランスは単なる残業削減ではなく、『より質の高い教育のためにする作戦』子どもたちと教職員の笑顔のために!」(ワークショップのスライドにあった言葉ですね。)この言葉を忘れずに取り組んでいきたいと考えております。