⼤阪府⽴箕⾯⾼等学校視察

日時:2018年11⽉9⽇(⽔)9:30〜11:30

記:澤田真由美・⽊村知佐⼦

北摂地域の進学校でもあり、ダンス部などの部活も盛んな箕⾯⾼校。数年前から学校改⾰の取り組みを進めていることでも有名な⾼校である。今回は英会話教室ベルリッツと共同開発した箕⾯式英語授業を⾒学させていただいた。 

内容

今回の授業を担当される英語科の森⽥先⽣は、⺠間企業を経験したのち私学でも教鞭を振るわれ、その後公⽴の⽀援学校を経て箕⾯⾼校に赴任。箕⾯⾼校在任4年⽬にして⾸席を任される実⼒の持ち主である。 

箕⾯式授業と呼ばれる対話式授業形式は、⽇野⽥前校⻑のもと、ベルリッツなどの企業ノウハウを取り⼊れながら、各教科会の教師の意⾒を反映させて⾼校⽣40⼈向けの授業形式に作り上げられた。

 従来型の⼀⻫授業ともうまく組み合わせながら、箕⾯⾼校流での取り組みを進めている。 

⾼校3年⽣英語授業⾒学

⾒学させていただいたのは「⾻太英語」。 授業の内容はアクティビティがメイン。

教師は授業の最初に特別⽀援的な配慮も意図してめあてをしめしていた。その後は⽣徒が主役。短い⾔葉の指⽰をほぼ英語で⾏う。授業の主体はあくまで⽣徒、問題を聞き、読み、記⼊、ペアワーク(数⼈でのシェア)の時間にわからない部分を教え合い、辞書で調べ解決する。10分以内に次々と新しいアクティビティに移り変わり、4技能を次々と解き進めていく。 

とにかくすごいスピードで展開していく授業に、⼦どもたちはしっかり対応。個⼈ワークは集中して取り組み、ペアワークになると⼀気に話し合いは盛り上がる。 メリハリのついたスピーディーな授業⾵景に⾒学者は驚くばかり。授業終了後、近くの⽣徒に話を聞くと、「問題数をたくさんこなせるのがうれしい、授業は楽しい。」と頼もしい答えが返ってきた。 

箕⾯⾼校式授業の⽬的︓

  • 短い時間で授業を展開していくことで集中⼒・適応⼒を⾼める
  • シェアタイムでアドレナリンを出す
  • 教師はあくまでもファシリテーター 1 分以内で話す 
  • ペアワークは強要しない。みんな違ってみんないい 
  • 分かる⼦が分からない⼦に教える 
  • 以前渡したプリントを忘れても OK、忘れ物をなくす⼯夫も⼤事だが授業への参画
  • 意識を⾼めることに重きを置きたい 
  • 保護者への情報開⽰ 保護者会で説明することで理解を得ている 

授業中盤での問い、「あなたがこのクラスの幸せのためにできることは何ですか︖」

は毎授業ごとに⾏われ、全員が発表する。 

授業の内容は実は⼀つのテーマに沿って⾏われていた。今学期のテーマは「Happiness」基礎学⼒をつける英語授業は「⾻太授業」と呼ばれ期ごとのテーマ(軸)に沿ったエビデンス集めの場でもある。PBLの「創造英語」では、集めたエビデンスを活⽤してCMやプレゼンテーションなどを作り上げ、好きな⽅法で成果発表をする。 

 

※テストや評価についての先進的な取り組み

定期テストはほぼマークシート⽅式を採⽤、テストの効果は下げずに教師の時短につながる。
テストは⾃分の弱点を把握するために実施するもの、テストに向けてどう勉強するか、テスト後はどう改善につなげるかを考えることに重点を置く。 評価については、⾻太英語と創造英語を5:5で評価しているので、実際の⽣きた英語が⾝についていく。(よくある学校は8:2)
この評価⽅式で⽋点者がいなくなったとのこと。 

箕⾯⾼校の実践から感じたことや気づき

  • ⽣徒に⾝につけさせたい学⼒と能⼒を明確に、そのために必要な授業、テスト、評価とは何かを教師はチームで検討し実践している
  • 学校は教えてもられる場所ではなく、⾃分たちで学ぶ場とすることにより、楽しみながら積極的に学ぶ姿勢が⾃然に⾝につくこと「⼦どもたちが⾃ら学び合い、解けない問題をわかったときのあの笑顔を⾒たら、従来の⼀⻫授業には戻れません」という森⽥先⽣の⾔葉が印象に残っている 

同⾏したメンバーの感想

⾃ら学ぶ学校づくりの実現は、教師が時間をかけることと、効率化できることについてもとても明確になっている。フリーアドレスの職員室、情報共有しやすいホワイトボードの配置、カラフルで開放的な図書室、まさに先進企業が働き⽅の⾒直しやイノベーションを⽬指して実践している取り組みに通じることを実感した(⽊村)

フリーアドレスの職員室

カラフルで開放的な図書室


先⽣同⼠のコミュニケーションの場が多いことが、楽しく⾝に着く授業につながっている。「教員同⼠のノウハウを混ぜる場が他校よりも多い」とのこと。⽬の前のいわゆる「受験学⼒」だけではなく、⻑い⼈⽣を⾒越した本当の⽣きる⼒をつけさせたいという願いは教師なら誰しもがもつものだと思うが、それをどうしたら学校として実現できるかを真剣に考え実現させた箕⾯⾼校の先⽣⽅に頭が下がった。

 

とはいえ、『みんなちがってみんないい』という緩やかさが教職員間にも流れており、「箕⾯⾼校流はこうでなければいけない」ということがない。その時々で最適だと思う⽅法(⼀⻫授業型も含め)で授業をしているというのにも⾃然な居⼼地の良さを感じた。

 

新しいことに先⽣たち⾃⾝がチャレンジできることが、学校が元気になる何よりの⽅法だと改めて感じた。教職員からの提案型の学校をますます増やすべく、学校ワーク・ライフ・バランスの⽀援にますます邁進していきたい。(澤⽥)