箕面高校はなぜ注目されるのか

  • 学力急上昇、海外有名大学進学者多数
  • 校長が30代(現在は40代)
  • ダンス部が日本一になった
  • 教員の残業が半減した

 

箕面高校と聞いて、思い浮かぶのはこういったことだろうか。(詳しくはこちらにも載っています

今回WLBC関西学校PJTリーダー澤田は、日野田校長に貴重なお時間を頂戴して「学力や教育の質の向上と教員の働きやすさ」を両立させるために必要なことに迫った。

このことに関心のある学校関係者にとって金言の宝庫なのでぜひお読みいただきたい。

評価

人事で高評価を与えるのは「授業力が高い」のような主観的なことではなく、「仕事を減らした」というとても分かりやすい場合にしているとのこと。減らすとは

・今あるものを、今よりエネルギー少なく効果を維持あるいは高めることができる方法を提案した場合

・新しいことを提案する(ビルド)ときに、減らす(スクラップ)こととセットで提案した場合

等だという。在任中に「どれだけ増やしたか」に目が行きがちな教育業界。日野田校長のようなトップの下であれば、時間対効果を考える教員が育ち、やみくもに効果だけを推した提案はなくなるだろうと想像がつく。

 

もうひとつ高評価を与えるのは「変化し続けようとチャレンジしている」場合だという。

新しい風をどんどん入れて新しい時代に合った教育をしていこうというメッセージがこもっている。

提案型の学校

減らすばかりで殺伐とした簡素な学校になったかというと、まったくその逆だ。

今、箕面高校は、教員がやりたいことをどんどん提案してかなえていっている。根拠のないものや前例踏襲はとことん減らし、本当にやりたいことや必要なことに時間をかけられるようになったのだ。

日野田校長が職員室で見ているのは

 

・コミュニケーションがうまくいっているかどうか

・提案しすぎて物理的に時間が無くなっていないかどうか

 

だという。「やらなければいけないから仕方なくやっていること」は本当に「やらなければいけないことなのか」を疑うこと。そして、学習指導要領や学校管理規則といった根拠に立ち返ること。

そのうえで、教育の質のために必要なことをゼロベースで考え、教員が楽しみながら働く姿や挑戦する姿を子どもたちに見せること。そんな、教員にも子供にも理想の形が箕面高校では実現していた。

校長の資質とは

「学校を元気にしたい」と思っているが、実現できずに困っている校長は多い。

箕面高校のように元気な学校を作った日野田先生は、校長の資質は「覚悟」だと言う。「明日死んでもいいくらいに今日を目いっぱい生きているか。」だとも言う。

澤田がこれまで出会ってきた気概のある校長に共通しているのは、「○○だからできない」ではなく「できる方法」を考え続けることや、傍観者でなく当事者であり続けることだった。

なので、日野田先生の言う「覚悟」にとても共感した。

 

学校改革だけでなく、人生の充実の大きなヒントを日野田校長から伺うことができた。

日野田先生、貴重なお話をありがとうございました。(澤田)

2018年1月7日追記:TAKTOPIA × 箕面高校

『偏差値じゃないと問題解決できないと勘違いしている日本人へ、学力の定義はそんなもんじゃないということを知ってほしい』という日野田先生の言葉が体現される場に招待いただいた。

Taktopia × 箕面高校のグローバルキャンプである。

 

グローバルリーダーを目指す三日間のキャンプの最終日プレゼンの発表を参観した。

世界の大学からサポートに来ている大学生をメンターに準備をして本場は英語でプレゼン、質疑応答もほぼ英語、というもの。

 

子どもたちの感想が、冒頭の日野田先生の言葉への答えになっていてとても感動した。

(内容詳細は主催のTAKTOPIAまで)

子どもたちの声

  • 考える力がついた
  • これからはミスを恐れずやっていきたい
  • もっと積極的になって自分の言いたいことをさらけ出せるようになりたい
  • 積極性がついた
  • 人の意見を取り入れられる人になりたいと思った
  • めげずに伝え続ければ伝わると実感ができた
  • いろんな人の考えに良い影響を受けたので、自分も伝える力をつけたい
  • 映画や音楽をたくさん聴いてもっと英語に慣れたい

  などなど

中学・高校の教員が10名ほど見学に来ていたのも印象的だった。

この方たちが学校へ今回の体験を持ち帰ったら、自分の授業のブラッシュアップと学校へ新しい風を入れることにつながる。

 

ライフの時間で外の世界を知る(=ライフとワークの相乗効果)ことは、まさにワーク・ライフ・バランスであり、教員が今回のような場を体感すれば、教育は大きく変わっていく。

学校専門ワーク・ライフ・バランスコンサルタントとして、このような場を多くの教員に紹介し、学校と外の世界をつなげるのも大切な役目だと改めて感じた。