視察:社会福祉法人あいの土山法人会 エーデル土山 様

議事録

日時 2017年8月1日 10:30~12:00
場所 社会福祉法人 あいの土山福祉会 エーデル土山 
担当 施設長 廣岡隆之様・介護福祉士長 岩田秀信様 
WLBC参加者 柴田佐織・藤本陽子 
当日の流れ 
  1. 施設長よりエーデル土山の業務改革・働き方改革の取組み説明
    ・取組前の状況(10年前)
    ・具体的な施策のご説明
      ①トリプルゼロ
      ②業務の棚卸
      ③各種委員会や執行室(プロジェクトチーム)の取組み
      ④独自の研修を開発
      ⑤イメージアップ活動の強化
      ⑥トーキング
      ⑦再入職パスポート
      ⑧採用について
  2. 質疑応答
  3. 施設見学
企業HP  https://www.edeltutiyama.net/ 

1. 施設長よりエーデル土山の業務改革・働き方改革の取組み説明

1.  働き方改革に取り組む前(10年前)

土山周辺には労働人口がとても少ない中、製造業やサービス業で人財の争奪戦となっていた。

離職者も多く、採用?人材育成?離職?採用・・・を繰り返してコストも高い、人財が流動し組織が不安定となっていた 。そこで、人材確保を第一優先課題とし、ここまで働きに来てもらうためにはどうしたらいいか?を一生懸命に考えた

 

大切なのは・・離職者がでないこと = 満足度が高い

2.  具体的な施策のご説明

①トリプル 0(ゼロ)

●残業ゼロ・・・トップダウンで働きやすさを追求

トーキングの活用=課長が一人ひとりと面談し管理職の思いを確実に伝える
(一人ひとりの状況を確認) 

家族の状況を聞く
(家庭の状況によった働き方をしてもらいたい) 

WLBのしおりを作成
(自作:ルールブック的に活用:従業員のオフも公開し身近に感じてもらう)
会議・朝礼の見直し、介護記録の言葉を統一、ルール化、写真を活用 

掃除の見直し、申し送りの見直し等 

メンタル不全ゼロ・・・ 個別カウンセリング等 

●腰痛ゼロ・・・ 抱えない介助(ノーリフト)を推進 移乗用リフトを購入(助成金の活用)。

浴室に吊上げ式リフトを設置 

(入浴介助は 1 人から 2 名。介助される方も恥ずかしくない配慮もある)

(導入当初は機械導入に違和感を感じられる職員さんも多かった。
介護は人力ですべきという考え方。 ←トーキングを実施し納得へつなげた)  

②業務の棚卸

看護師・介護士・正社員・時短社員・パート社員の職務分掌を明確化、見える化、共有(透明化)。 

いい仕事をするためのルールを視える化(就業規則・服務規程・給与規定)を業務に沿ったものに作り替える業務と賃金体系を紐づけし、賃金構成を明確にした役割を明確にした。(管理職の仕事は職員の働きやすさを本気で考える事。ヒト・モノ・カネを調達するのが仕事)

介護のやりすぎを見直す(無理をなくす、過重労働を減らす、人力でやることが美学ではない) 

③各種委員会や執行室(プロジェクトチーム)の取組み

  • 人材確保対策・労働室
  • イメージ戦略室
  • 人材育成強化室
  • 経営運営戦略
  • 設備管理室業務改善遂行室
  • CSR 推進室

④独自の研修を開発

テキスト作成・キャリアプラン・新人研修・階層別研修・職種別研修・意識改革

⑤イメージアップ活動の強化

施設内環境(衛生面(匂い)、HP、採用活動資料など)

職員の顔写真を廊下に掲示。カラーが勤務中、
モノクロが勤務時間外の区分け 

職員に向けての励ましの言葉がすべての入り口に掲示している 


施設内はシンプルに整備され、デザイン性と機能性を兼ね備えた掲示物やモノの配置されているため、介護施設にいるというより、美術館やデザイナーズの建物にいる印象が残るほど整えられていた。 

⑥トーキング

社内メールでは伝えない。(伝わらないし、理解していない事が多い) 

職員への定期的な面談(20分程度)をまめに行う。職員の相談にものるが、経営側の考えをしっかりと伝える事が目的 。これによって、就業規則や服務規程や福利厚生をはじめ働きやすい環境整備をしていることが伝わる。 人材育成の意味でも使っていた。 

⑦再入職パスポート

この施設しか知らない人は他を見たいと離職するが、3年間であれば辞めた待遇で復帰することが出来る。(復帰率は高い)現在はあまりやめないので、復帰したくても出来なくなっている。
空席待ち状態 。

⑧採用について

んな人材でも育つシステムを作った。優秀な人材が来てくれるはもうない(ダイバーシティの考えで育成する)。イメージアップ活動が効果を発揮している。採用のパンフレットに良い点も悪い点もかいた。(理想の仕事ばかりではないと理解してほしい) 

2. 質疑応答

取組みを初めてから何年ぐらいかかったのですか?

10年近く。我慢強く継続すること、途中で辞めない事を必至でつらぬいてきた。

途中で反対する人はいなかったのでしょうか?

もちろんいた。特に看護や介護は「こうあるべき!使命が強い人が多い」職種。こうあるべきを大切にしながら、仕事で体を壊さない働き方を実施してもらいたいという事をマンツーマンで話した。 

施設長が職員さんに声掛けなどはされるのですか?

積極的に声掛けすることはしていない。それは中間管理職が行う事。中間管理職と職員がいい関係を気づいているのに、飛び越えて出しゃばれば、彼らの役割を侵害してしまう。

中間管理職と施設長の間では話をたくさんするようにしている。ただし、難しい案件の場合は別。 

職場の雰囲気を乱したりする職員に対してはどんな対応をされたのですか?

服務規程に職場の雰囲気を乱す禁止行為を細かく記載している。注意をする時も人格を否定するのではなく、この服務規程のこの部分に違反をしているという説明をして行動を改善してもらう。 

改善にかかった費用はどのように捻出されたのでしょうか?

「ひと・もの・カネ」を創出するのが、管理職の一番の仕事。助成金を申請したり、融資を受けたり、できる事はすべてやった。とにかく職員が働きたいと思う環境づくりを一番に考えて行動した。

感想(藤本陽子)

  • とにかく施設内は新しいホテルかと思うほどの清潔さ(本当は築20年以上)
  • 機械を使うべきところと、人でしかできない事の使い分けが上手
  • 壁に手作り感満載の飾りつけがない(それは介護する側の自己満足でしかない)センスのいい写真や、何の部屋なのかが写真やイラストでわかりやすく表示されている
  • 職員さんが笑顔で挨拶をしてくれる
  • 整理整頓が行き届いている
  • 施設独特のにおいがない(こまめに汚物処理をしている)
  • 施設長の本気度!!!幹部職との関係性がとても良い。