学校働き方改革フォーラム 2017
会場:東京代々木のオリンピックセンター
主催:学校働き方研究所 杉山史哲さん(WLBC関西外部有識者)
共催:先生の幸せ研究所 澤田真由美(WLBC関西学校プロジェクトリーダー)
110 名のお申し込みを頂いて満席で迎えた当日。 現場の先生(管理職含む)、マスコミ、学生、議員、 教育委員会関係者。 と、様々な方にお越しいただきました。
基調講演
WLBC 関西ですっかりお馴染みの春日市教育委員会改革リーダーだった工藤一徳さん。 内容は
- 「学校に権限を 渡さない限り学校の自律はありえない」
- 「教育委員会事務局の活性化の方法」
- 「業務改革とセットでする必要性」
- 「国レベルで何かを大きく変えなくても定数を増やさなくても、市区町村教育委員会のレベルでできることがこんなにある」
というもので、 参加者からは「これをこのまま全国展開できたらいい」「うなずきっぱなしでした」という感想をいただきました。
福岡県春日市といえばコミュニティスクールの実践で大変有名ですが、今後は業務改善の一つのあり方として広めていきたいと改めて思いました。
事例紹介
先生の幸せ研究所澤田(WLBC 関西学校プロジェクトリーダー)による事例紹介では、大分大学教育学部附属小学校はじめ全国の取り組みを紹介させていただきました。
大分大学教育学部附属小学校の取り組み代表例10
- 職員会議廃止・経営会議は毎日・全員集合は年数回
- お茶当番廃止
- 3 年宿泊行事廃止
- 宿泊行事 3 泊から2泊へ
- 土日は完全閉庁
- 19時から7時立ち入り不可
- 教頭業務の整理分担
- 教科研究室廃止
- 難しい保護者対応は教務
- 緊急用電話設置
特徴
- 管理職中心で進めたこと。
- 子どもの良い変化を見て周りの大人が納得したこと。
- 1 年と言うスピード感でやり切ったこと。
成功要因
- 時間の外枠を先に作り入りきらないものは思い切ってスクラップしたこと。
- ビルドより先にスクラップ。前例踏襲はしない。
取組後
- 授業中の体調不良児童が減った。
- 残食が減った。
- 公開授業は公立学校教諭が追試したくなる高い質を保っている。
- 教育実習生を育てるという附属の使命をより組織立てて果たせている。
高槻市立北大冠小学校 = WLBC 関西がコンサルティング
特徴
- 「行事の精選」のご依頼から教職員の本音ヒアリングにより
「日常の効率化」もすることになった。 - 夏休みを利用して全員参加のキックオフ会議(スタート全員会議と呼んでいます)にて
方向性確認。
キックオフ会議の様子
- 時間対効果の高い方法を考えるワークにて「中途半端に終わらせる勇気」というベテランの○○先生の言葉に感銘を受けましたという声。
- ふせんを使い、短い時間でも結論まで出せる会議法を知った。
先生方の変化
働き方見直し募集!と自発的にアイデア募集の取り組みが始まった。
他に、澤田がご支援させていただいている教育委員会の取り組み事例も含めて多数ご紹介しました。
-
一校の改革に終わらせない横展開の事例
静岡県教育委員会のモデル校やモデル地区の例 -
学校と行政との連携を教育委員会がサポートしている事例
市役所内から学校へくる保護者への配布物等を減らすように市役所内に検討依頼等 -
学校と地域・家庭との連携を教育委員会がサポートしている事例
18 時以降は学校は電話対応しないことを教育委員会から保護者へ周知 - 教育委員会事務局内部の働き方見直し
など
分科会
分科会 1 部活動顧問問題について 内田良さん
分科会 2 チーム学校の理想と現実 妹尾昌俊さん
分科会 3 子育て中でも働きやすい方法を考える 川崎知子さん
分科会 4 明日からの学校での働き方 澤田真由美
ここでは、澤田が担当した《分科会4》の様子をご報告いたします。(その他の分科会も大変盛り上がっていました)
参加者は小学校の先生が多かったのですが他には学校事務職員、出版社、ライター、エデ ュペディア作成者。若手からベテランまで。 少人数限定で、明日から「自分の立場で」できることについてグループワークにて考えました。
まずはアイスブレイクとしてワークライフバランス度チェック。「定年まで今のままの働き方を続けられる」にチェックできなかった、という方の話が印象的でした。
そして思考整理のツールを使って
- すでにうまくいっていることや続けたいこと
- 課題
- アクション(やめること、始めること、簡略化すること、まとめること、減らすことなど)
- 感謝
で現状整理や今後を考えました。
グループワークの時間を長くとったので、ほとんどずっと対話していただきました。 話しているうちに参加者同士どんどん知恵が出てきて、解決の方向性が見えてくるという体験をしていただけたと思います。 学校では時間に追われすぎていたり、時間を意識する風土が無かったりして、こうしたことを話題にする機会がなかなか通常はありません。
まずは思っていること、困っていること、無駄だと思っていることを話題にすることが大切です。 そうすることで少しずつ時間を意識したり働き方を見直す風土ができてきます。その際に今回のような思考のツールを使っていただければと思います。
今回のフォーラムは参加人数や所属を見ても、教員の働き方への社会の関心の高さを表したものだったと思います。 このフォーラムが、参加の皆様の横のつながりを作る機会となり、現場に戻ってもくじけずに周りを少しずつ巻き込みやがて社会を大きく変える力となれば幸いです。