事例:経理業務改善の事例紹介 A社

担当コンサルタント:阪田美弥

1. 経理業務改善に取り組んだ理由

経理部体制:管理職 2 名、部員 4 名

  1. 取組前の状況
    ・月中の残業はほとんどないが、締日、月次決算締は残業が発生する
    ・部員の仕事が固定化しており、年度決算業務は管理職に集中
    ・管理職は、全社的なプロジェクト等、兼務で行う仕事が多い
  2. 経理部業務の改善に取り組んだ理由
    一般的な経理部の姿ではあるが、
    ・決算業務を部員とも分担することでミスなく決算・申告を終えたい
    ・部員には、スキルアップのためにも新しい業務に挑戦してほしい

と考え、業務改善に取組みました。 

2. 改善方法

部員と面談し、業務の内容をヒアリングしながら、業務一覧を作成しました。

また若手社員には、時間単位の 1 日の仕事の計画と実績を提出してもらい、仕事内容を把握しました。これにより、慣習化していた業務、隠れ業務を発見できました。 

<業務一覧・抜粋項目例>
 中項目   概算時間  目的  課題 
月末証票紙出力  〇時間/月  帳簿保存  本当に必要な業務? 
集金の入金処理  〇時間/月  入金当日処理  締め日残業発生
集金から振込へ変更できるか
経費申請チェック  〇時間/月  証票チェック  月末に業務が集中・分散化? 

不要な業務は廃止、また業務の優先順位・実施時期を決めることで、時間を創出し、新しい業務を担当するようにしました。新しい業務は、各自がスキルアップできるものにし、各自の年次目標として取り組みました。担当業務を増やす前に、部員間での業務分担量の確認、本人が納得していることを大切にしました。 また並行して部内勉強会も実施し知識習得の機会を作りました。 

3.具体的な改善案

  廃止や標準化だけでなくリスク管理や経営上の観点から強化した業務もあります。   

<廃 止> 現金出納業務の省力化・証票紙出力業務の一部廃止(電子帳簿保存法申請)

<標準化> 決算資料の標準化(定型化)により、部員で分業担当 

<強 化> 承認体制の強化、月次チェック業務、月次分析 

課題全てに着手するのではなく、取組みの効果が大きいものについて実施しました。 

4 改善実行 1 年後の変化

部全体の残業時間が大きく減少しました。 

担当替で業務内容を共有し、新しい業務を担当するようになり、専門的な業務を習得した部員もいて意識の変化を感じました。決算資料を標準化により分業したことで、決算期の管理職への業務集中が減りました。 

5.感想

業務改善は、他部門の協力も必要でしたが、あたたかく見守ってくださった部長や、部員の協力があったから実行できたと思います。部員に「成長することができました」という言葉をもらったことが大変嬉しかったです。

効率化のためにシステム導入等を行う前にもできる改善は多いと思います。仕事の見える化によるチーム力の強化、意識の変化、スキルアップが大きな成果でした。 

 

経理業務改善支援のご依頼はこちら

http://www.sakatacpa.com/