学校プロジェクトシンポジウム @東京 レポート3
学校のWLBシンポジウム パネルディスカッション
日時:2018年1月19日(火)18:30~
会場:株式会社ワーク・ライフバランス
モデレータ:福井正樹 課題提起:妹尾昌俊氏 登壇者:大塚万紀子・澤田真由美

18:30~ 導入挨拶・参加者同士自己紹介
福井さん:PTAの経験から、子育ての経験から話していきたい。
大塚さん:子どものインフルで自宅軟禁中、ITツールを活用して働き方が変わったことを実感中
民間の取り組みをヒントとして提示できればと思います。
澤田さん:元小学校教員、自分が苦しんだ経験、その後WLBと出会って、保育園のお迎えに間に合って保護者に喜ばれてる働き方をした経験、その両方からお話したい。
制度を変えるのも大切、でも同時にできることから始めませんかと伝えたい。

18:45~ 妹尾さんから自己紹介と問題提起
- 子供たちの育ちのために先生のゆとりある働き方について
- プロフィール
- 子供4人、PTA副会長もやっている、
- 妻から子供の小学校変えてみてとのミッション
- 教師ではない、外部者だからこその視点からお話している
- 自身は自己肯定感高すぎる
- 働き方改革とは、生み出した時間を何に費やしたいか?ではないかと思っている
●先生が一人で真っ暗な中バスケの練習をしている写真。〈自主練〉
一生懸命に献身的な先生 9割以上=長時間労働でもある
●職員室の写真
校長先生から送ってもらった写真。校長以外誰もいない授業中の職員室。
人がいない、ぎりぎりの人材でやりくりしている
授業参観からは見えない先生の事情があります。
その中であれもこれも欲張れるのか!
中学校の残業時間の実態スライド
常勤講師〈音楽〉の196時間残業、教員採用試験前なのにこんな働き方をしている
他にも過労死ライン越える先生ばかり。夏休みに入っても残業が60時間超
過酷な学校の現実をぜひ知って欲しい!
他業種と比べると、80時間以上残業している割合高い。
考えて欲しいこと
- 忙しくても子供たちのために前向きならいいでしょうか?
- 多忙感なければいいんじゃないか?
- そういった考え方に対して、あなたの体が心配です。と伝えたい。
- 26歳の先生が過労死したこと、一生懸命の先生だからこその結果では。
- 先生の悩みは
- 授業準備の時間がない
- 仕事に追われて生活にゆとりがないなど
- 実は、肝心なことに時間がとれていないこと・・・これこそ課題では
- 日本の場合は教員が多くの仕事をする
- 進路指導、生活指導、プール掃除など
- たとえば、岡山などでアシスタントを導入しているところもある
- 職員室で、何かを減らす、見直す時に保護者からの反発もあるが、職員室から反発がある
- 子供がかわいそう!
- やらないよりやったほうがいい!
- 優先順位を決めるべき、やったほうがいいことだけで時間がなくなる
→静岡市、部活動週3日休んでいる
19時~ 4者のディスカッション
福井さん
学校の課題は企業や自治体と同じ事が多い。
企業は残業時間を可視化する、いったん客観的に物事を見てみる。
自治体はそもそも改革できるわけがないと固定化されたマインドがある。
妹尾さん
先生の数が少ない中やれない=人員増やすことと変えていくことを同時進行すべき。
福井さん
子供のためにという麻薬があるのかな。
なくすのは出来ないが変えていくべきかと思うがどうか?
澤田さん
子供のためにと言うのは大きい、それでも効率化できるところはあるはず。
学校目標や何をすべきか分かっているか、そこを考えてほしい。
福井さん
少しまとめると、長時間労働のデメリットとは
- 健康
- 人生への影響
- 仕事の質の低下
そのためにすること
- マインド 意識を変える
- メソッド 方法を変えてみる
- スキル そのためにどうするか
だと思う。
大塚さん
学校の効率化について
- 留守番電話の導入→一般の感覚では当たり前が学校では違う
- 保護者からみると過剰サービスではないかとも思う
- 保護者が丸付けすること、とてもいい取り組み
- 赤ペンで丸付けではなくアイパットで採点でもいいのでは
優先順位
- 2つのマトリックスを紹介
- 業務の特徴を整理する
- 定型化(決まりきった仕事)⇔非定型(イレギュラーな仕事)
- 自律的な仕事(自分でコントロールできるか)⇔他律的な仕事(他人にコントロールされる)
- 一番苦労するのは、非定型×他律的そこはアシスタントにサポートしてもらうなど
難易度と効果のマトリクスも知っていてください - 難易度高い⇔低い効果高い⇔低い
- こういったフレーム、教員もぜひ取り入れてほしい
福井さん
メソッドに至る前のマインドのハードルが越えられないのでは
澤田さん
効率化できるよねと気づく前のマインドのハードルも高い
他校の事例知ってもらうことが勇気になる、見直ししてみるという気持ち
例えば、プールカードない学校ある。それで特に困っていない。それでも大丈夫なんだと知る
そもそもツールを知らない。なぜか・・・学校の中しか知らないから
長時間労働している限り、限られた狭い世界で何も知らないまま
どこまででもやれることをやりたい・・・では時間は有限なので最低限を知ること
妹尾さん
長時間労働のデメリット
- 健康
- 人生への影響
- 仕事の質の低下
は教育の質の低下につながる、子供のためによくないということ。
人生楽しんだほうがいい先生になれるのでは?
自分にとって面白かった先生 = 雑談が面白い先生だったのでは?
一生懸命すぎることは、子供のためにはならないと感じてほしい = マインドセット
定型のことについて
大都市では特に若い先生が増えている。
初めての学年を担当するときに、一から自分ですべてやっているのはどうなのか?
授業準備など、ベテランの先生、その学年を受け持った先生の意見を聞くなど、見直すことが大切。
定型できること、たくさんあるはず。
福井さん
マインドができていなければメソッドもスキルも進まないことは理解できたと思う
そこにもう1つ大きな要因=保護者のファクターが入ってくる
保護者の意見や対応はマインドに大変影響がある
保護者からの意見について聞きたい
大塚さん
保護者側は情報持っているかどうかで学校との関わりが変わると思う。
PTAは怖い、先生に何かいってはいけない、教育の選択肢はないと思っている保護者も多い。
一緒に考えるために、保護者を巻き込むためには、現状を伝えていく必要がある。
福井さん
PTA役員だけしか総会、勉強会に出てこない。どんなにいい研修会をしても来ない保護者・・・伝えたくても伝えようがない
妹尾さん
保護者は学校が思っている以上に学校のことを知らない。たとえば出退勤時間など、正しく伝えないとうまく連携できない。18時半以降は留守電と伝えると、18時半まで勤務時間と思ってしまう教員の勤務時間は何時まで知っているか?
子どもの貧困、家庭の問題が子どもに影響している。
関心が低い、情報難民であり、これこそ、教師だけでは難しい。ソーシャルワーカー、市役所の部署、NPO、社会資源。みんなで支えていくことが必要
福井さん
PTAの色は地域色、学校レベルなどによってかなり差がある。
妹尾さん
やはり学校から発信しないとわからないのでは。妹先生も困っていること、サポート必要なこと、ヘルプをいう大切さ。
福井さん
以外にPTA会長には情報共有はある
教育と福祉の狭間。
どこまで関わるか、どこから任せるかを一緒に考える機会は重要
澤田さん
学校はとても保護者を恐れている、お客様対応しなくてはと思っている。たとえば緊急連絡網。
無くしている学校も多いし、ITツールで緊急時には連絡できるようになっているから不要だと言いながら、しかし無くすことで、さらに保護者対応が必要ではないか恐れたりして検討をやめている。保護者にもアピールしていいのでは。
福井さん
情報の伝え方が画一化している。
たとえば学校説明会を利用する(たくさん参加が見込まれる)など工夫が必要。
保護者に対する柔軟さも必要。
19:40~ 会場から質疑応答
教員の方から感想や意見
長野県教員小学校
- 大学院で学んでいる
- 毎日学校に通いながら、同時に大学院で学んで、改善進めたいと思っている
- マインドセットが一番難しいと思っている
- 教員には見えない理想の教師像がある
- 保護者にも理想像がある
- 学校でやめること=それは理想像となるのか確認できないと判断できない
- 内部からマインドを変える事の難しさを感じている
静岡県中学校先生
育休中で学ぶ気持ちがあるが、そのことを学校復帰後、情報発信することが怖いと思っていることに気づいた。教師の引き出しが増えることは保護者に対する対応力が上がるんだと思う
妹尾さん
やめる勇気、必要性を共有する意識を持とう。
温泉、5か所あって5か所とも入りますか? 効果を考えて選ぶでしょ?
澤田さん
マインドを変える、マインドを変える、というけど、多くの先生は今、抱え込みすぎていると気づいている。だけど・・となっている。反対されると思うけどと枕詞をつけると意外と出てくる本音がある。
中高一貫校のサポートコーチ
- 過剰品質と必要な質の見極めができないのではないか?
- 大学の先生も教員になる学生に対してキャリアだと考えることはだめだと考えている
(聖職扱い) - 子供のためと先生よく言うが、それぞれの先生の意識統一はできているのか
福井さん
マインドセットのために壁となる保護者について考えたい
保護者より
PTAって何だろう?地域エリアやコミュニティーを巻き込むことが必要だとされながらも、結局評議会になってしまっている。丸付けやるよと先生に言ったら、子供の理解力がわからなくなるからと断られたりもした
福井さん
地域を巻き込むことは大切。
保護者
先生に理想像は持ってほしいと思う、保護者は情報知らないと思う。自分の周りの保護者は本当に情報知らない。壁が高い、本当に高い。
20時~
大塚さん
- 自分は何のプロかを確認してほしい
- 民間では経営者は肝、誰がキーマンなのかを確認する
校長先生なのか、それならば教育委員会は評価変えるべき - 大きな改革は難しいかもしれないか、足元の変化を感じて、何からできるか考え続けてほしい

澤田さん
校長が肝だと思う、教育委員会の評価は変える必要あり、新しいものつくることを評価にばかりせず、減らすことも評価にしてほしい。
自分たちで考えることの大切さを思い起こしてほしい、学校経営=子供への教育と同じ考え、理想像は持ち続けると思う、そこがあるから教員を目指す、だからこそ、本当に大事なことに時間を使っていいよ、と言ってあげてほしい
妹尾さん
子どものため・・・と思っても、今のままではいけない。子どものためって言っても、もう少し具体的な考えないと。子どもたちのどんな力を高めたいのか、表面的なスキルだけでなく粘り強さなど個々の教師の思いだけで走っていて、バラバラに走っている。
修学旅行も、子どものどんな力を高めたいのか。うちは子どもたちのこんな力を高めたいので、これに力を入れ、こちらはちょっとということを、保護者には、こういう教育をしているという発信と長時間労働削減の必要性を両方伝えることが必要。
福井さん
教育の質、信頼を担保する必要性を感じる
これだけブラックな職場に質の高い教員がくるわけはない。
少子化=そこに質の高い教員がきて、教育の質があがることを一緒に目指したい
〜休憩〜
8:10〜 グループワーク
8:25〜 これからのアクション
- コミュニケーション、結構とっていないよね?先生とも地域とも
- それぞれ巻き込んでいかないとね!
- まずは自分の時間のマネジメント、おしりを決めて仕事をする
- 同士を作る!教員の仲間、地域の人、同じ志を持った人を作って広げていく
- たまたま知り合いのお連れあいが教員。教員の知り合いを作り、ワークショップをやりたい
- 教員を誘って外部に連れ出す
- 保護者向けのセミナーやってほしい、という依頼が来ているので、子どもの育ちで話したい
- 子どもが小学生になったらPTAに関わる
- 教員のワークライフバランスを発信する
- 保護者・地域を含めた役割分担大変なこと伝えあう情報交換のみ意思疎通
- PTA主催の懇親会があると聞いて、やってみたい
- 学校働き方改革を進めるには、父・母の働き方改革も大切。民間も、協力できる保護者を作る(お互いがお互いのタスクを知る)
- 教員それぞれが目指す教育、共有
- 先生の価値観、こだわり、子どものために、・・・それを違うといえない
- 若手だからこそ言えることあるのに、自分たち自身も言えていない。自分から会話する。
- その人を知っていく、あの人のこだわり、私の強み・・・理解しあう
- 保護者への発信にもなる
- 明日から発言をがんばる
福井さんより
- 今、追い風
- 追い風のときのチャンスを生かしてほしい
澤田さんより
先生の声を聞きたいに対して
- 空き教室を開放して、地域に使ってもらうこころみ
- コミュニティスクールについて、アジェンタなど先生作らろうとするので、なしでいいと言ってほしい
- 先生の中で飲みに行けない人もいる・・・勤務時間内でやってほしい。
- 先生たち自身、子どものためになると自信をもってほしい
- 先生が多忙だとどうなるか先生たちに聞いたら・・・学級崩壊起きる、ほめられない、叱ってばかり
- 自分たちのゆとりが子供に直結していること、自信をもってほしい
20:40〜 写真撮影・交流

〜21:00 〜