学校プロジェクト シンポジウム@東京 レポート4 <ワークショップ>
午前:ワークショップと事例紹介
日時:2018年1月19日 15:00~17:00
場所:株式会社ワーク・ライフバランス カンファレンスルーム
講師:澤田真由美
サポート:木村知佐子
参加者:約25名

学校関係者、学校の働き方に興味のある方たち約25名の方にお越しいただきました。
15:00~ 導入挨拶・参加者同士自己紹介(10分)
どんな話が出たか
- いろんな人が集まるから来てみた
- WLB社の養成講座受講生だから
- 休職中の人を支える働き方をやってみたいから
- 今、教職大学院に行っていて関連するテーマを調べているから
- 教員の立場、教員の研修機関からの参加、保護者、議会の議員・・・
- 学校の負担感をどう減らしていけばいいのかを学びたい
- それぞれの立場で働き方を変えていくヒントを得たくて
15:15~ 澤田より大阪府高槻市立北大冠小学校の事例紹介(15分)
実際の取り組みを紹介
- 働き方見直し会議(ワークショップで話しやすい雰囲気を作る)
- グランドデザイン(取り組みを学校の柱に)
- 働き方アイデア募集! (ホワイトボードで共有・ボトムアップ 現場から出たアイデア)
- 2日間予定見える化
- 印刷お願いボックス(専科と担任の平準化)
- 割り振るスキル(若手の育成にもなった)
- 事務職員巻き込み:ワークショップに事務職員参加 先生が気付かないことを提案
- 遅くまでありがとうNG:間違った価値づけを防ぐため。ここまで丁寧にしてくれてもNG、一人で頑張ってくれてもNG
- 見通しでお互いにメリット:大人にも子どもにもメリット
これからはさらに大きな時間を生むことに取り掛かり中
今奥校長先生の言葉を紹介
この取り組みは授業と相性がいい。学校改革になる。
時間を生むだけのつもりだったが
教育課程を見直すことになるので学校を一から作り直すことになった。つまり、手を抜くことじゃなく教育の質を高めることだと実感。まさに働き方改革の本質
WLBC関西が支援したこと
- 校長と職員室をつなげた(校長先生が思っていたことと教員が思っていたこと違った。)
- 事例を都度紹介(すぐできることのヒントが大事)
- ワークショップ(本音が話せる、自分たちでアイデアを出す)
- 実際の進め方の提案(学年会に組み込む)
- 校長や企画会議と伴走(密に連絡をとってサポート)

15:30~ ここまでのところで感想共有
- 学校の職員、個人商店。個人個人に思いがあったとしても統一してルールにする難しさ
- 大きな行事の改革より、日々の改革・・・に納得
- ちょっとした取り組みが変化を生むのだなと
- 内部だけでの変革は難しいので専門家のアドバイスはありがたい
- 自分たちだけではなかなかなおせない
- 小さな一歩と継続が変化につながるのだな
- それが大きな変化につながる
- 「効率化できません」 とすぐいう → それは本当でしょうか?
- 教育を効率化するということではなく、周辺業務を効率化しようという話
15:40~ 様々な事例を紹介「100校あれば100通り」
【教員個人の例】
・奈良担任
毎日遊んでいたのをやめて丸付けを月~木。金曜日は子どもと遊ぶ日。子どもが楽しみにしてくれるようになり反発していた子との関係が変わった。生まれた時間、コーチングなど学び出したことで保護者対応でも役立った。
・大阪担任
ライフで保育士友人から子ども対応を学んだことで本を読まなくても必要なこと教えてもらえた。
・教育お茶会
人脈が広がった、視野が広がった、フリースクールの先生と知り合い、さまざまな教育機関を知ることができた。子どもにあった教育を提案することがワークでも生きた。
・サークル活動
教員が平日の夜有志で集まって、模擬授業など自己研鑽(教員が時間外に自分から研修に行く人は全体の10%。トップ1割の教員が集まる場なので相談すると的確なアドバイスをもらえる)
・滋賀教員
毎日18時にスポーツジム→絶対にこの時間に帰りたいという強い気持ち、動機があること。そして、徹底的な見通しと優先順位。
・大阪教員
妻とお迎え半々。初めて料理を作るなどの経験で、子供たちにもチャレンジするときの声かけが変わった。自分もモンスター? 保護者の立場になって初めて、自分は保護者にちゃんと伝えていただろうか考えるきっかけになって保護者との関係が変わった。
【学校の事例】
・福岡県春日市小学校
午前5校時(5校時までの日は昼休みの時間が浮くので午後の時間丸々使える)
・横浜市立富士見台小学校
文具の整理(東急ハンズをヒントに):
学校事務職員を中心に8年前から働き方改革取り組んでいる。環境を変えることで意識が変わる。
コミュニケーションを変える:
職員室の後ろに大型テーブルを用意して話し合えるように憩いの場:職員室の狭い場所でやるより、中庭を使おうと外に使った・・・というように、学校事務職員の方、いろいろ気が付いている。気が付いていること、教えてもらいながら巻き込んで。
・大分大学教育学部附属小学校
職員会議廃止・経営会議は毎日・集合は年数回。
難しい保護者対応は教務(情報共有をしっかりし、どこまでは保護者に譲れてどこからはゆずれないかを話しあっている)
・藤枝市立高洲中学校
留守電・自動音声応答。18時以降自動音声導入は保護者満足度100%
>保護者の声
「決められた時間に対応していただける方がかけやすくスムーズ」
「親も先生の勤務時間を意識して連絡する内容も最小限に伝える意識をすることができる。
必要なら18時前にかければ良い」
・北海道教職員組合留萌支部
勤務実態を知ってもらう、関心を持ってもらう
地域とともに勉強会をしたことで
「先生たちはこんな大変な働き方だったんですね!」
「役立つことがあれば協力したいと思います。」
「勤務時間や仕事の中身など聞く機会はないのでよかった。ここまでとは思いませんでした。」
・横浜市立中川西中学校
「部活動は教育課程外。教員の善意でやっている。」と保護者に伝えた
「練習が長すぎる・短すぎるなどのクレームは受け付けない」
→クレームは激減。保護者は応援者に。
部活動が続けられない教員は無理をしなくてよいし、もっとやりたい教員はやることができるようになった。
・大阪府立箕面高校
人事高評価 、減らす人とチャレンジする人を評価
減らすことで新しい時間ができ、チャレンジする教員が増えた
ペーパーレス(プロジェクターを使い、みんなで一緒に見る)
定期テストはマークシート(7万円くらいで可能)(学力に影響はない)
・イギリスの例
教員がすべき仕事ではない仕事は別スタッフがする(周辺業務担当スタッフがある)
今回これを紹介した意図は2つ
1つ目は自分たちが専門性を発揮する場所はどこなのかを考える
2つ目は人が足りないというが、探してみると学生スタッフなどもいるがこうした周辺業務をもっと頼んでいい。
16:00~ ここまでの感想共有(10分)

- マークシート式、今後大学入試で記述式が増えるのにいいのか?と思ったが、最近の授業はアクティブラーニングが増えており、記述とマークシートとバランスよくできるという意見があった。
- アシスタントとして働いていた経験があり、暇だったので「何か手伝えることありますか?」と聞いてもお願いできるようにまとまっていないので依頼できずもったいなかった。アシスタントの力を借りるのは確かに必要だと思った。
16:10~ 実践ワーク
ここからは北大冠小学校で実際にやったスタート全員会議を実際にやってみる。
・ワークライフバランスの基礎知識を伝える
1:好循環・相乗効果
2:大切なことを大切にすること
3:ワークとライフの境目
4:ワーク・ファミリー・バランスとの違い
5:人間の集中力 / 睡眠
働き方見直しの基準
学校教育目標を達成するための取り組みにする
学校教育目標を具体的にする(知徳体みたいなものではなく、具体的にどうなっていたらいいのか)
2軸のマトリクス(効果の軸と時間の軸)で、時間と効果が見合っているのかを考える
では、実際に付箋ワークをしてみましょう
「1:あなたや学校の時間の使い方ですでにしているよかったことは?」
- 計画を立てる
- やめることを決める
- 優先順位を考える
- 校長の定時必須
- マインドマップを活用(理科教務:ネットの動画を見て学んだ)
- 新潟、大雪で大変だったので除雪機を借り、先生の雪かき時間をなくした
(費用:7万円PTA費から)
「2:あなたや学校の時間の使い方の課題は?」
- 部活動が教員主導
- 一人で請け負ってがんばってしまう傾向がある
- 子どものため・・・でスクラップしにくい
- 大事なことは、みんなで意見を言い合い、出し合い、改善していくことが必要
- 若手の一人の意見が参考になることもある 管理職だけで検討しない
- 3人がこの活動いらないといっても、一人の力がある教員の声があるとその業務は残ってしまうだからみんなが対応で意見を出し合うことが大事
- 効率化が後回しになっている
- 下のレベルの生徒をもってしまうと、やってあげたいことがどうしても増えてしまう
- 子どものために・・・という気持ちで、効率化まで考えていない
- 自分の生き方を考えていく必要がある
- 長くいる先生=えらいと思ってしまう、その人には言えない、でも一人ひとり人生がある。
共有したい。
付箋会議のメリットを紹介
- 発言の大きさが平等
- 話題が視覚的にわかる
- 多数派が視覚的にわかる
- 読むだけなら短く済む
役割を決めて進める
- 共有 2分
- 話し合い 3分
- まとめ 3分
- 予備 1分
16:50~ まとめとアドバイス 澤田より
- 信頼を集めながら早く帰る先生の工夫を横展開してほしい。
- 湖南市モデル校では、早く帰るとき「チャオ!」と言っている(先に帰ること、申し訳ないは言わない)。
- 定年後30年一緒に過ごす家族との時間も大事。
- 個人の意見に終わらせず、校内で味方を見つけて戦略的に(2・6・2の法則)。
- 自分にいったことに反対する人もいる、心つもりも。
- 誰が味方になってくれるか、2を3にしていく。
- 反対派に時間をかけるより、賛成派に時間をかける
- 今日をヒントにできることに目を向けてみて。
- 便利なツールがあること知らない(ZOOMを使ったら先生が感激されていた)。
- セキュリティの問題より知らないから使っていないだけ。
- 横浜市フレックスしようとしていると聞いている。
- 他にも担任2人制にする学校も。
- 自分たちのお給料の範囲は学習指導要領の範囲。自己満足なのか仕事の範囲なのか。
- そもそも大事なことは?そこに時間をかけられている?を考えること。
- 今まであったものをやめたら批判されるのではないか・・・本当か?
- やめたらないのが普通になった中学校の例。最初の2年、様々な意見に耐えられるか
(何か言われるのは最初の2年だけ)。 - コンサルティング中の藤枝市 子どもたちだけの部活動を試している。子どもたちが時間管理もする。
- 常識にとらわれず、様々な工夫をやってみましょう!
- 働き方見直しのサイクルを紹介 ~4STEP回し続ける~(学校単位でも、個人単位でも)
ありがとうございました。

後日いただいた感想
2018/02/08更新
横浜市学校関係者
学校でできることは、まだまだたくさんあると感じ、勇気と知恵をくださったことに、大変感謝をしております。(ご自身の学校での働き方見直し案を作成し、共有してくださいました)
