視察:株式会社天彦産業 様

議事録

日時 2017年4月14日 10:00~12:00 
場所 天彦産業会議室 
担当 社長 樋口友夫様・総務 水田誠二様・新入社員 
WLBC参加者 服部裕樹・澤田真由美・石部大史・高橋紀子・松下暢子・ 境 順子・木村知佐子 
書記 

澤田・木村 

当日の流れ 
  1. 2016年安倍総理訪問時の内閣府の動画視聴
  2. 会社説明
  3. 社長よりの話 
  4. 質疑応答
  5. 工場見学
  6. 写真撮影 

1. 2016年 安倍総理訪問時の内閣府の動画視聴

概要は以下の通り(当時の社員数:39名中 10名女性 )

社長: 

わが社は社員第一主義。社員と家族を大切にすれば、社員がお客様第一主義をやってくれます。 

制度の重要視は疑問 

育休もとりやすい風土づくりが先 

参観、運動会などイベントは優先して休ませる 

介護も優先  お互いさまの気持ちを養う 

 

海外営業(現在課長)伊藤さん: 

2度産休育休 出産後は不安だったが1 年間とれてゆっくり考えられた。中小で代替の者がいないので一人採用してもらった。心配なく休めた。育休後仕組みを自分で作って WEB 営業をした。

出産前は体調不良で通勤できず、在宅勤務もした

 

竹中さん:

 伊藤さんは産休前に採用された。2か月で仕事覚えた。やりがいと達成感が一番大切と思う。 

 

社長: 

伊藤さんが復帰前に彼女の仕事がないことに気がついた(笑) 。

  

竹中さん:

WEB営業している。日々新しいことをトライ&エラーでやっている。 仕事に上限がなくて、できる限りのことはできるように会社がしてくれている。 社内はもちろん取引先など社外の人もが力添えしてくれる。

 

社長: 

2年前は売り上げの15%が、今は25%が海外商品。
女子社員を事務員やパートとは呼ばない。SP(セールスパートナー)

 

浅田さん

営業が外出しやすいように自分たちの仕事の範囲を広げている。難しい図面も書けるようにしている。周りのサポートがあってできること。SPだから、とかいう垣根はない。

 

社長: 

ベスト社員制度毎月実施、業務以外での活躍で社員同士の投票で決まる。やりがいづくりに注力している。 

 

浅田さん: 

女性活躍できる、家族の幸せを大切にできる、などから入社を決めた。 実際、先輩の姿、自分の仕事を考えると活躍しやすいと思っている。 男女関係なくサポートできる体制がありがたい。 

 

社長: 

男性も育休取得している。 家族の協力あってこそ、女性社員の海外出張も子育て中にしてもらっている。

 

伊藤さん: 

海外出張でお客様に接することができて貴重な機会。家族の協力もある。そういう機会が持てているのはありがたい。 

 

安倍首相:相手はメーカーでこれは珍しい。仕組みを使えるようにしたことが結果として会社を成功させている。女性だけを優遇するのではない。成長戦略にぴったりの会社 。女性がこういう雰囲気の会社を選んだのは? 

 

伊藤さん: 

モノ作りは楽しいので。

 

社長: 

図面を読める彼女は独学で勉強してくれた 。中小企業にもってこいの、多品種少産の商品を扱っている。 女性だからこそ、細かな対応をいろいろできると思っている。 助け合うことが大切。 

2. 会社説明

委員会活動について
部署を超えた人間関係がもてる
役職低くても委員長になることが勉強になる
仕事以外での得意が見えてくる、輝く


月間ベスト社員
毎月 各部署から推薦(社員投票)
忘年会準備を頑張っていたとか、毎日掃除をしてくれているなど、業務以外のことで評価。
日の当たりにくいことも評価されることがモチベーションアップに。

年間賞、社外の人(取引先業者など)への感謝状などの面白い取り組みをいろいろと実施  

3. 社長よりお話

(1) 天彦産業への視察は年間300人

すでに今年は100人。6人兄弟の末っ子なのに社長。

 

(2) 昭和27年(当時3歳)月商の20倍の不渡り

のさいに周りから100万円超える支援を受けた社長の経営理念の原点(母の存在)

3歳でも苦労した覚えがある。天彦さんのぼんといわれていたのに、毎日サバの煮つけばっかり。
兄弟6人とおばあちゃんで競争して食べる毎日。 

月〜木:サバの煮つけ 

金〜土:ようかん:にこごり 

日:おつくり:しょうゆをご飯にかける 

母は苦労も笑いにしてくれた 。社長は吉本の芸人やりたかった 

おふくろ(母)は天然、継ぎあてをするのは親父のワイシャツから。小2 の時、靴下親指の穴の次当て。紺の靴下なのに白の次当て。「次は右しておくわ~」という母。 

 

宿題騙され事件:「だました子は一生もっていかなあかん」 

ダンプカー事件:「罪を憎んで人を憎まず」長の生家に突っ込んできたトラックの運転手をおもてなし。お酒、おかず、お風呂、寝る場所を提供する母。「罪を憎んで人を憎まず」 

 

高校時代にこれらふたつを思い出した。これが経営者としての根幹になっている。

 

(3) 現在社長12年目

自分カラ―を出そうとするのが経営者。いろんな会社の理念を調べたら 8 割の会社が顧客第一主義と書いている。それに違和感があった。お客さんへのサービスは社員がするもの。その社員が、「お客さんに満足してもらおう」と思うには会社が好き・やりがいが必要。

① まずは自分の幸せ

② 家族の協力が必要。なので同時に家族の幸せ

③ 会社は①と②ができたらほっといても良くなる。

マクドナルドドライブスルーでお持ち帰りですか・と聞かれた。待ってよ! マニュアルがあるからいけない。(マニュアルに心は入らない)

 

(4) 社長就任当時、社員第一主義

を掲げたことで、3つの会社から呼ばれて、かっこつけるのやめときと言われた。親切に。それでグラグラ来た時があった。そんな時の8月、関空に行くのでいつもよりも長くラジオを聞けた。そしたら「日本で一番大切にしたい会社」の紹介。すぐ読みたいから。けど売り切れで12月に読めた。

伊那食品工業株式会社、日本理化学工業株式会社など素晴らしい会社が掲載。自分の方針と同じ、もっと深いことが書いてあった。会社にとって大切にすべきこと 

1.社員と家族 

2.顧客と家族 

3.取引先と家族 

4.地域社会 

5.株主 

著者の坂本教授に手紙を書いた。すぐ連絡あり、行きたい。12月28日は? 1月6日は? 結局2月に来た。素晴らしい出会い、今も続いている。 

 

(5)社長の方針

①賞与は手渡し(給与は振り込み

振り込みは嫌い。旦那の威厳が下がる。お母さんからおこづかいもらう子どもと夫。せめてボーナスだけは手渡しさせてくれ。と社長。 経理から毎年「来年どうします?」と聞かれるくらい大変。中に本人宛と家族あての手紙を入れている。社長は人事考課する仕事はない。上がってきた数字で出す。 手紙にうそを書いたら一発でばれる。半年間よく観察する。あれはおかしい。あんたの力はもっとある、と書くこともある。 翌日従業員からメールが来る。 

 

過去に、一人半年間見ていなかったことがあり、しまった―と思った経験も。 家族あて手紙は、A4に経営上の数字、今後の方針、ぜひご協力を。あとは、従業員本人は今壁に当たっています。表情を見て、そこはつつかんといてくれ。など書くことも。この手紙は奥さんに見せない者もいる。夏のイベントで「家では全然わからなかったけど、そうなんですね」という反応をもらう。 

 

②リーマンショック(2008年)は大きな打撃だった。

12月になって影響出てきた。 6月の決算までうまくいっていたので、まあ海外社員旅行を考えてもいいかな~。と思 っていた。グアム・タイ・北海道・沖縄かな・・。リーマンショックの影響ありそうだし年明けるまで待とう。1・2・3月は前年対比7割減。それでもこれまでのものがあったので達成はできそう。海外はやめとこう。みんな沖縄行きたい!

 

でも人気あって取れなかった。北海道は雪まつりで取れない。けど、リーマンショックの影響でキャンセル出ていけることになった。(社長しぶしぶ?)開拓記念館に天彦産業の創業当時ののこぎりが飾ってあって社員は感動!あれはよかった。 新年度4・5・6月は売り上げが半分もいかない。ボーナスどうしよう・・。周囲の先輩経営者に聞いたら「今年は出さない」と。 

 

で、出さないと決めたら夢に従業員が出てくるようになった。マンション買ったなあ、私立の学校入れたなあ・・。5日くらいして「ゼロはあかんよなあ」と思った。従業員に説明した。そのあと 1時間くらいして、3年目の女の子が入ってきた。「従業員のことがわかるんですよね、さっき誰かボーナスほしがってましたか?」ボーナスは社長のプライドがある。通知簿だから君ら関係ないねん。とつまらないことを言ってしまった。 その子が出て行った後で泣いた。 

 

で、1か月分に満たないけど出した。 

夏の家族向けイベントで従業員の奥さんから「赤字なんでしょ?ボーナスいりません、家のローンも大丈夫です」とその時も泣いた。 それしか出せなかった自分を引きづっていた。 

 

2015 年、業精機も何とか持ち直し、奥様ボーナスを渡した。手紙を入れて5万円ずつ。あの時の借金を許してくれないか、と。 後日従業員奥様からの手紙に、借金などあるとは一度も思っていませんと書いてあった周囲の会社から止めときと助言。でも約束したしな~と行った。 

※中小企業は家族との距離を縮めることこそが大事。縮まったとわかったこと。それがうれしかった。 

 

③坂本教授の「日本でいちばん大切にしたい会社」という本にも載って

2000人の学生がリクナビでエントリー。いろいろ選考しても面接時は100名切らない。2人くらいしか採用しないのに申し訳ない。選ぶのは学生側。会社が選ぶなんて勘違いは甚だしい。 

だから、経営者が自分の会社はこんな会社だよと言わないといけない。採用成立は相思相愛。 

 

④採用活動での学生への言葉

400万社あって、大企業は1万社。日本経済を支えているのは中小企業なんだよ。「今社会人になるに際して、夢がある人は?志は?」という問いに2〜3人しか手を挙げない。それ以外皆さん帰ってください。そんな生易しい企業はどこもない。気持ちを切り替えなさい。と説教。 

 

学生からの反応は、「親にも先生にも聞いたことがなかった話、自分が決めないといけないとわかった」、という感想。 関係のある大学の就職先企業紹介に、中小企業がない。大手企業と行政のみ。前に載せたがそんなところに行かせるためにこの学校に行かせたんじゃない、と保護者からクレーム。大企業に入社した人の1 年目で4〜5%がやめる。 福利厚生制度があるからってうまくいっている会社だなんて認めたらだめ。

 

⑤社員の学校行事参加

小学校入学式に休みを申請した社員の上司が取りやめさせたと報告に来た時の話。入学式は毎年あるのか?6年×365日分の1日を休んだらだめだということ? そんな会社だけも働きたくないぞと怒った。社会の当たり前に流されないために、学校行事に参加することを強制休みにした。 入学式に行った社員の仕事ぶりが変わった、翌日1.5倍のエネルギーで働いた。年休をたくさん消化することで誰かが毎日いない。お互いさま。100の仕事を時間内で120やるようになった。 

 

⑥制度ではなく風土

★個別対応が必要、制度は必要ない!一つの制度で賄えるものじゃない。

韓国人の妻に3 人目生まれた時、夫社員は女性社員に囲まれて「絶対育休取り!」と言われた。 

社内結婚の女性が昇給する場合もある。

★有給休暇の消費と生産性は比例する。(社長の結論)

 

⑦社長のこだわり

・社員がこの会社の役に立っていると実感していること

・社員がこの会社に必要とされていると実感していること

 

新人は歴代早くきて掃除をしている。社長は指示したことはない。 挨拶が元気でいいとかも、月間ベスト社員に選ばれる。 モチベーションが上がってこその生産性!

4. 質疑応答

【経営理念】 について

① 社員第一主義について社内外から批判反発はなかったか?

社員第一主義は就任時から言っていた。誰に聞いても腑に落ちていると思う。取引先にも「社員第一主義の代表メーカー」と思ってもらっている。ブランディングの成功例。

 

② 新入社員でも役員から数字(営業利益・経常利益も全部)の説明が毎月ある。

自分に関係しているものがあると気にかけて数字を見るようになる。社員が経営者感覚、全員経営を言っている。社長一人に経営させたら潰れる、と従業員には常に言っている。両手両足、指の先まで貸してほしい。重たい鉄板運ぶとか英語もできない。それも含めて経営。

【海外】 について

① 時差や文化の違いによる苦労は?

時差はタイでも2 時間なのでそこまで苦労はない。

母国語が英語じゃない方との話で伝えるのに苦労している。

 

② 社内だけでなく、海外取引先とのトラブル、休日や夜間はない?

大きなクレームなら主婦社員も海外に飛んでいく。一人で対応することはないので。海外との取引は初めの契約が重要。そこをきちんとできていれば、イレギュラーな対応はほぼない。

【人事考課】 について

① 生産性を測る物差しは?

本人のスキルと業務について個別に目標設定。

それぞれの部署での考課項目と「委員会」活動など全社統一の項目

加点主義(あくまで人件費主義じゃない、モチベーション主義!)

上司と相談して、「どこをどれだけ評価するか」具体的に決めて加点方式。基本個別対応。よく見ている人にしか評価できない。

上司ひとりにつき7名の部下を見る体制。

流れは、上司と本人のヒアリング→ 評価→ ヒアリング→ 社長へ

【社内イベントカーニバル・社内旅行】について

①参加したくない人はいますか?

海外研修旅行はプライベートで行きたいのでその分お金くれ、他企業は普通なる。 

天彦産業は行けない者は悔しがる。行先はみんなで決める。会社が全額もちOR社員と折半の場合もある。目標達成は海外旅行。だめでも国内旅行。 旅行企画の社員は月間ベスト社員として表彰されたりして、役に立っていることを実感できる。 

【忘年会】 について

①フレンチなんですか?

何をしても怒られないレストランでとことん楽しむ。

【年次休暇125日】について

①引き継ぎは?

メモリアル休暇は入社日によって長さが違う。(連続取得でなくてよい)

いつも誰かが休んでいることが当たり前なので、トラブルはない。 

 

②GWやお盆に休むことは?

旅費、宿泊費高いだけ。行きやすい時期に行けていい。

平日休みで趣味のミュージカルを見に行ったり、皆が活用している。

【今後したいこと】について

病気で有給使わないでほしい。元気で休んでほしい。

35歳以上は全員人間ドック。昨年から、定期健康診断は生活習慣病検査をしている。

がん保険に全員が去年から入った。会社がやってくれるというのは家族の理解・支援につながる。

やりがい追求には健康が必要。

 

そのコストはどう作った?

利益に比べたら大した額じゃない。がん保険なんて年間180万くらい稼げたらいい。 

自分は直感経営。がん保険に全員去年から入ったことで予算の200%になった。けど返ってくるお金だからいいじゃないの。 

感想:WLBなんてとんでもない会社もまだまだ多い中、WLBC関西が理想とする働き方を感じられてうれしかったです(木村)